銀行に就職を考える学生が覚悟しておきたい5つのこと。

銀行員になりたい皆さま、こんにちは。僕です。

「Fintech(フィンテック)で銀行はなくなるかもしれないから就職するのが不安」とお考えの就活生や若手銀行員の方は少なからずいらっしゃると思います。

かくいう僕も同じ悩みを持ったことはあります。メガバンクと地銀の両方で勤務経験のある僕が、これからの銀行で働くということについて、考えてみようと思います。

かつてはエリート、今は落ち目。

銀行は、かつては「高給取りのエリート」というイメージが強かった職業です。60代くらいの世代にとってはこの印象が強いと思います。特に田舎の中では市役所勤めか地元の銀行勤めは「立派になる」の代名詞でした。

今はどうひいき目に分析しても斜陽産業であると言うほかありません。銀行に特にこだわりのない人は他業種を検討することをお勧めしたいと思います。

ですが、急に銀行がなくなることはあり得ません。ゆっくりと、じわじわ下り坂を下ることになります。それでは、そんな銀行で働く際に覚悟しておくべきことを整理してみましょう。

覚悟しておくべき5か条

  • 将来を意識して特別なスキルや本質的な仕事力を身に着ける努力が必要
  • 今も昔も何かと資格が必要とされ、常に勉強を続ける必要がある
  • 古い文化が根付いており、上司との価値観の違いは必ず生じる
  • 銀行員は噂好きであり「ここだけの話」の社内ゴシップが蔓延している
  • 基本的には誰も助けてくれず、一人でいることが平気なメンタルが必要

僕の勤務経験において感じることは上記の通り。一つ一つ解説します。

何かに特化した特別なスキルを意識しよう

今はFintech(フィンテック)やAIといったキーワードが一般的に報道される通り、従来は人間のスキルや銀行のレガシーシステム(古い体質のシステム)で賄っていたお金周りのインフラが革新的に進化しています。

例えば企業に融資をするといった場合、銀行はこれまでのノウハウや職人のような目利きで相手の信用力を推し量り、相手にお金を貸すかどうか、どれくらいの金利をつけるか決めていました。

しかし今ではCAMPFIRE社などの「クラウドファンディング」や、みずほ銀行とソフトバンク社の「AIスコア・レンディング」などの新しい(実は昔から似たようなものはありますが)金融が台頭してきています。

どちらも詳細は割愛しますが、要は借りたい人と支援したい人を「直接マッチングする仕組み」や携帯電話の分割払実績などの定量的な「信用」を図る手法などで、従来の銀行の力を必要としない仕組みが出来上がってきているのです。

こうした中、これから銀行で働く人がどのようなスキルを目指せば良いでしょうか。従来通りの融資手法などの仕組みを漫然と身に着けるだけでは、不要となるかもしれないスキルを貴重な若手時代の何年かをかけて身に着けることは致命的だと思えると思います。

これから銀行で働くには、何かに特化した特別なスキルの習得を意識しましょう。融資手法や投資信託などの運用商品に関するスキルでも何でも良いので徹底的にその道を究める、または色んな経営者と会話できることを武器に世の中の企業の良し悪しを徹底的に学ぶなど、絶対的な武器を作り上げましょう。

従来の「オールラウンダー銀行員」は将来的にはかなり辛い将来が待っていると僕は考えます。陳腐化するスキルであっても、特化していれば残存者利益を狙うこともできます

ちなみに僕は資産運用を中心とした個人のお金に特化して突き抜けたおかげで、一定の存在感を得ていましたよ。

通常業務+継続的な勉強に耐えられるか

銀行に限らず、金融の世界は様々な規制があります。このため、取得しなければならない資格もたくさんあります

難易度は簡単なものも多いですが、入社前から入社後数年目まで、取得すべき資格のガイドラインなどが定められているケースがほとんどでしょう。一定の資格を取得できていなければ、一定ラインより出世できずお給料も上がりません。

もちろん通常業務をこなしながらの勉強となるため、勉強が苦手な人には酷な環境と言えます。逆に、知識が増えることが自分の喜びとなるようなタイプ、そつなくこなせるタイプは金融に向いていると思います。

特に注意が必要なことですが、銀行人事は減点主義です。いかに持ち点を減らさないかが出世に影響しますので、資格試験に落ちるようなことは心象を悪化させ、ひいては人事評価に影響しかねないので一層の注意が必要です。

また、それらのガイドをクリアすることはある意味「当たり前」なので、ライバルに差をつけるためには自分で勉強を続ける必要があることも忘れないようにしましょう。

古い企業文化へのスルー力は必須

銀行には、正直僕も理解に苦しむ文化がたくさんあります

例えば銀行は印鑑文化で、何をするにも上司の印鑑が必要です。このときに自分→上司→ボスというスタンプラリーを行いますが、うるさい人は印鑑の押し方に文句をつけます。そして、面倒くさいことに数種類に分類されます。

「傾いた印鑑を押すな。誠実に真っすぐ印鑑を押せ」タイプ、「上司の押印欄にやや傾け、お辞儀をしているように押せ」タイプ、「気の進まない仕事には逆さまに押す」タイプ。よくもまぁ考えるものですが、これに巻き込まれるとストレスが溜まります。

その他「働き方改革だ!残業するな早く帰れ!」「おい何でできていないんだ、優先順位つけてやれ!」「おい書類ばかり作ってないで数字取ってこい!」など、まぁ金融で働く人にとっては当たり前の理不尽は横行しています

会社により程度の差はありますが、おじいちゃんたちの意味不明なルールや文句に蝕まれない強い精神を持つ必要があります。

付き合い残業などとの付き合い方については、この記事もご参考にどうぞ。

「付き合い残業」とストレスフリーで「付き合う」方法

社内ゴシップや派閥から距離を取ろう

銀行員は下品なほどに噂好きです。

あの支店長と窓口の女の子が不倫している、あいつが転勤した理由はこんなことをやらかしたからだ、あの人はバツイチだ、など本当にたくさん出回っています。

きっかけが出世競争による嫉妬や妬みなのか、単にストレスが溜まっているだけなのかはわかりませんが、とにかく「ここだけの話」が拡散していきます。まさにリアルTwitter。ただし、それらは公式には出回っていないことになっており、誰も触れることはありません。飲み会のときなどに華が咲きます。

僕はこうした誰かのことを悪く言うのは好きではありません。逆に、会社の外で社内ゴシップを言いふらしていたことを顧客に聞かれており、それが本部まで伝わりリスク管理能力を疑われ飛ばされていった人もよく見てきました。アホですよね。

沈黙は金なり。仕事や自分に関係のない話を華麗にスルーする力が必要です。

一人の時間が平気な人は金融向き

あなたは一人で食事をすることを苦にしない性格ですか?一人を苦にしない人は、金融マンとして向いています

基本的に業務中は皆忙しいですし、一人で食事をするケースは少なくありません。というか、誰かと一緒にランチなんて支店勤務では基本的にありません(本部勤務であれば別です)。

また、気の合う仲間がいないことも多く、そのことをいちいち気にしているようでは銀行員として致命的です。もちろん高いコミュニケーション能力でそうした状況を打破できる人はその限りではありません。

繰り返しになりますが、銀行は減点主義です。巻き込まれたらマイナス評価となることを恐れ、基本的に誰も助けてくれません。常に周りと協力し共同戦線を張り、お互いがミスをしない仕組みを自分で構築できる人が結果的に評価されます。

これを理解できないけれど出世をしたいと望む方は銀行はやめておいたほうが無難かもしれません。

色々言っていますが、もちろん仕事はチームで行います。円滑に仕事を進めるためのコミュニケーション能力がないと、銀行ではやっていけません。

特に昭和体質の銀行の事務は基本的に女性が回しています。そのため、女性に好かれることができれば仕事は飛躍的にスムーズに動きます

僕もミスをしらないうちにリカバリーしてくれていたことなど、たくさん助けられてきました。逆に嫌われてしまうと、頼んだ仕事を後回しにされるどころか放置されることもあります。一方で、仲良くなりすぎるとスキャンダルに巻き込まれる可能性も高まります。距離感に気を付けましょう。

トレスフルな金融の世界でストレスフリーな働き方を実践するためには、一人で生き抜くタフなメンタルチームで働くためのコミュニケーション力が必要です。

まとめ

  • 斜陽産業であることを理解し、将来を意識して時間を大切に行動しよう。
  • 遊びと勉強を計画的に行うタイムマネジメントをしよう。
  • 古い体質を変えようと思わず、スルーする力を身に着けよう。
  • ゴシップ好きから距離を取る、またはむしろ乗るかはお好みで対応しよう。
  • 基本的には自分が主体となり生き抜く覚悟を持とう。

銀行というよりも、金融機関で働くに際して共通して言えることもありましたね。

金融は辛いこともありますが、だからこそ楽しいことはたくさんあります。

歴史の転換点を楽しみ、かつ最悪のケースに備えたリスク管理も行いましょう!

 

最後までお読み下さり、どうもありがとうございました。

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