iDeCoを活用した資産形成をお考えの皆さま、どうもこんにちは。僕です。
制度が浸透してきたのか、年金への不安が高まってきたのか、最近は特にiDeCoについて相談をお寄せ頂くことが増えています。
先日は派遣社員をされている女性の方から相談を受け、アドバイスさせて頂きました。
やはり「知ってはいるけどめんどくさい」「60歳まで出せないのは不安」「運用とかよくわからない」がメインのお悩みでした。
こうしたとき、複雑に考えるのではなくシンプルに整理するのが僕たちアドバイザーの仕事です。
「自分に退職金を用意するための方法」と考えれば抵抗はやわらぐと思います。
無理ない範囲(=毎月5,000円、1日200円程度)で自分の退職金を準備することに抵抗があるかないか。
この感覚で制度を利用すべきかどうかを考えると良いと思っています。
制度を活用する方向に決まれば、あとは選ぶだけ。
基本的にiDeCoは制度で決まっているものなので、仕組みはどこの金融機関を選んでも同じです。
異なる点は「選べる運用商品のラインナップと手数料」です。
なので、僕のような運用が大好きな人間に教えてもらえば誰でも簡単に利用できます。
適切なアドバイザーを見つけることが最大の難しさかもしれませんね。
さて、前置きが長くなりました。
この記事では三菱UFJ銀行(旧三菱東京UFJ銀行)のiDeCoの良いところと悪いところについてご紹介します。
目次
三菱UFJ銀行のiDeCo概要
「標準コース」「ライトコース」の2つの選択肢
私たちが選べる選択肢として、標準コースとライトコースがあるようです。
ざっくり比較表を作ってみました。
標準コース | ライトコース | |
運用商品 |
定期預金3種類 利率保証型積立保険4種類 投資信託17種類 |
定期預金1種類 利率保証型積立保険1種類 投資信託8種類 |
手数料 |
合計 6,540円(月545円) 初回手続手数料 2,777円(初回のみ) 事務手数料 1,236円(月106円) 資産管理手数料 768円(月64円) 運営管理機関手数料 4,536円(月378円) |
合計 5,064円(月422円) 初回手続手数料 2,777円(初回のみ) 事務手数料 1,236円(月106円) 資産管理手数料 768円(月64円) 運営管理機関手数料 3,060円(月255円) |
iDeCoの性格を考えると商品ラインナップの多さは必ずしもメリットに繋がりません。
むしろ煩雑な印象が増して敷居が高くなり利用を諦めてしまうケースが多いです。
反対にコストの安さは必ずメリットに繋がります。
第一印象はライトコースのやや有利な印象ですが、詳しい運用商品ラインナップに判定は委ねられます。
ラインナップ比較
次に選べる運用商品のラインナップを見てみましょう。
標準コース | ライトコース | |
元本確保商品 |
定期預金(1年、3年、5年) 明治安田利率保証年金(5年、10年) 東京海上日動のねんきん博士(5年、10年) |
定期預金(1年) 明治安田利率保証年金(5年) |
投資信託 ()内は運用管理報酬 |
三菱MRF(変動するが少額) 三菱UFJトピックスオープン(年率0.702%) 三菱UFJ日本株アクティブオープン(年率1.674%) 三菱UFJバリューオープン(年率1.674%) 三菱UFJDC日本債券インデックスファンド(年率0.486%) 三菱UFJDC外国株式インデックスファンド(年率0.8532%) 三菱UFJDC新興国株式インデックスファンド(年率0.594%) フィデリティ・グルーバル・ファンド(年率1.86484%) 三菱UFJ外国債券オープン(年率1.08%) 三菱UFJDCJ-REITファンド(年率0.918%) 三菱UFJライフセレクトファンド安定型(年率0.7344%) 三菱UFJライフセレクトファンド安定成長型(年率0.7992%) 三菱UFJライフセレクトファンド成長型(年率0.864%) 三菱UFJMV20(年率0.756%) 三菱UFJMV40(年率0.8316%) 三菱UFJMV80(年率0.9936%) 三菱UFJプライムバランス8資産(年率0.3456%) |
eMAXIS日経225インデックス(年率0.432%) eMAXIS国内債券インデックス(年率0.432%) eMAXIS先進国株式インデックス(年率0.648%) eMAXIS先進国債券インデックス(年率0.648%) eMAXIS国内リートインデックス(年率0.432%) eMAXIS先進国リートインデックス(年率0.648%) eMAXISバランス4資産均等型(年率0.54%) eMAXISバランス8資産均等型(年率0.54%) |
運用商品を比べてみると、平均手数料帯から考えてみてもライトコースが良さそうです。
改めてiDeCoの特徴を思い出してみましょう。
- 60歳まで引き出せない
- 運用益は非課税
- 損失は自己責任
この特徴に適合するものは「長期的に値上りしそうなもの」かつ「損失が出にくいもの」です。
長期的に値上がりしそうなものをピンポイントで当てることが出来たら理想ですが、そんな方はわざわざiDeCoを使わず富を築いています。
ですが運用成績に影響を与える手数料(運用管理報酬)は予め通知されています。
つまり同じ投資対象であればコストの低いものが絶対的に有利な選択肢となります。
また、大手企業でも将来どうなるかはわからない世の中です。
投資対象銘柄(国、地域、通貨も同様)を分散しておくことで損失が出にくい仕組みを構築できます。
ここでの選択肢は「広く投資対象を求めるもの」かつ「手数料が安価なもの」が有利そうですね。
また、iDeCoは初心者にも適した制度であると言えますが、投資の世界では「初心者向け」と「プロ向け」はあまり関係ありません。
別の記事で紹介していますので、よろしければ参考にして下さい。
三菱UFJ銀行のiDeCoの選択肢はほぼ一択!
選ぶべきコース
結局、三菱UFJ銀行でiDeCoをする場合は何を選べばよいか。
答えはシンプルです。
ライトコース一択です。
ここに悩む余地はありません。
理由は次の通り。
- 運用商品のラインナップが必要十分
- 標準コースのラインナップはあまり有効ではない
- その上口座管理の手数料は標準コースの方が高い
キャンペーン等で口座管理の手数料などは変動する可能性もありますが、とにかく大切なのは運用商品。
標準コースに好ましい運用商品はなく、ライトコースに必要なものがある程度揃っていることから、悩む余地はないのです。
選ぶべき運用商品
コースが決まれば、運用商品を選びましょう。
私が考えるベターな答えは次の通りです。
eMAXIS日経225インデックスとeMAXIS先進国株式インデックス(年率0.648%)の組み合わせ。
個人的には先進国株式だけでも良いかなと考えますが、精神的な不安が少なくなるように日経平均も組み合わせてみてはという提案です。
悩んだら5:5で良いですし、できれば国内株3:先進国株7くらいなど傾斜させてみましょう。
「将来的に不安だから債券とか入れた方がいいんじゃないか?」とお考えの方もいらっしゃると思います。
iDeCoのように長期的に引き出せないものは、なるべくメンテナンスを考えなくても良いようにすべきです。
債券ファンドを組み合わせないのにはいくつか理由がありますが、iDeCoでは主に2点が理由になります。
- 利益が出るものでなければ非課税メリットを最大限に活用できない
- 超低金利の今、債券ファンドに投資する妙味はない
債券は一般的に、金利が上がれば値下がりします。
今が超低金利な水準とすれば長期的に金利が上昇した場合には値下がりすることになります。
現時点では超低金利で妙味が少なく、長期的には不安定な要因を抱えていることからあまりお勧めできません。
逆に株式の場合はどうでしょう。
短期的には値上がりと値下がりを繰り返しますが、長い年月をかけて少しずつ成長しています。
リーマンショック時などは世界的にGDP成長率がマイナスの時期もありましたが、概ねプラスを維持しています。
こうしたことを考えるとiDeCoと株式ファンドの親和性がわかりやすくなるのでは、と私は考えます。
投資理論的な理由もあるのですが、まずはこう理解頂ければよいと思います。
なお、どうしても運用が不安な方は定期預金などでも問題はありません。
iDeCoのメリットを最大限に生かすことは難しくなりますが、やらないよりは有利になります。
最後は自己責任となりますので、元本確保商品を選択することも立派な選択肢の1つです。
その際は「日本はゼロ金利」であることを思い出し、あくまでもiDeCoの所得控除メリットのみの享受であることをご認識下さい。
運用商品ラインナップの残念な点
では、三菱UFJ銀行のiDeCoの残念な点もご紹介しておきましょう。
まずは運用商品の銘柄。
投資対象としては国内株は日経平均株価225種よりもTOPIXの方が好ましいです。
前者は代表的な225銘柄の平均株価であり、かつ時価総額の高い銘柄の値動きの影響が色濃くでる指数です。
後者は全株式の平均株価となり、1銘柄あたりの影響度も等しくなるように算出されています。
つまり変な偏りのない分散投資を実現するという観点ではTOPIXの方が好ましいといえます。
仕方のないことですが、この点は減点ポイントです。
あとは身も蓋もないことですが、インデックスファンドにおいても手数料の多寡は存在します。
eMAXISシリーズよりも安価な類似ファンドがあるという点においては他社の方が有利であるとも言えます。
このあたりはどこまで追求するかによりますので、何ともいえません。
ベストではないけれどもベターな選択肢、というところでしょうか。
話は変わりますが、僕は人気ランキングを頼りにしていないのにお気づきでしょうか。
みんなが選ぶからいいものだ、という思い込みは運用の世界ではとても危険です。
選び方はとてもシンプルなので、ぜひ自分で選べるようになりましょう。
まとめ
- 選ぶのはライトコース一択。必要十分であり、標準コースはラインナップが悪い。
- 運用商品は外国株式インデックスをメインにすればOK。日経225との組み合わせを。
- 運用がどうしても不安なら定期預金でも所得控除のメリットは享受できる。
iDeCoはどの金融機関を選ぶかで毎月の手数料と運用コストが変わります。
あまり気にしない方であれば、SBI証券などネット系金融機関のiDeCoの方がコストは低減できます。
しかし「悩んでやらない」よりも「やってみる」ことの方が大切ですので、現在取引のある金融機関でやってみるのも良いでしょう。
運用商品などはあとで見直しもできますが、なるべく見直さなくて良い仕組みを構築しておけばさらに楽になります。
皆さんの資産形成がうまく実現することを願っています。
ただしこれらは僕がベターと考えることであり、将来の運用成果を保証できるものではありません。
最終判断は自己責任でお願いします。
最後までお読み下さり、どうもありがとうございました。